職人不要論?

セキメイバンのグランパさんのブログで「職人が消える日、の記事を見て」の記事の中に(株)インクスの山田社長の話が書かれている。

 ものづくりの世界でも、大量の熟練技術者が退職する今年は「技能継承」が課題だ。完成まで45日かかっていた金型の工期を45時間に縮めたベンチャー「インクス」の山田真二郎社長が、ある職人との交流を自著「インクス流!」(ダイヤモンド社)に書いている。
山田社長が金型の一級仕上げ師、石井二郎さんに技を教わるシーンだ。金型の溝を紙スリで仕上げる隣で「なぜ磨くのか」「なぜここで止めたのか」と根掘り葉掘り聞く。「これでしっくりいった」と石井さんが言えば、幅を測って「しっくりと言うのは3ミクロンですね」と記録する。こうして「神業」はコンピュータに伝承され、工期短縮が実現した。
そのコンピュータを使って19歳の初心者が石井さん並みの金型を作り上げたと聞き、石井さんは「もうこれ以上、恥かかせないでよ」と言ったという。

インクス山田社長の逸話は色々とあるが、さすがそこまで改革してきた人はやることが違う。
アナログな仕事をデジタルを使って便利にする。
まさにIT革命の一端を担っていただろう。
しかし「職人不要論」ととる人も多く居るわけたが、これは工作機とCADの進化と共に大きくなってきたアンチテーゼであり、OA化が進めばペーパーレスになるといった幻想とにている。
パソコンの普及でペーパーは減るどころか大量に消費されている。
グランパさんの記事では、

 「職人不要論」と受け取る人もいるだろう。しかし技は伝承される必要がある。25日、東京で開いた「理系白書シンポジウム」でインクスに入社して4年目の江口幹さん(32)はこう語った。「職人技を機械がやることで、新しいことを考える余裕ができる。人はもっと独創的になれる」

つまり使える道具が増えただけであり、上手く利用することで創造という人がやるしかない分野に今まで以上の時間をかけられると。
反発があるのは、新しい情報について行けない人達の不安や、変化を嫌う人達のぬるま湯的思考からだろう。
「職人不要論」を唱える人には意外と設備を導入する側の人が多い。
現場ではどれだけ機械が進化しても職人が不要になるはずがないと感じている。
これもやはり創造というモノづくりに一番大切なところを忘れてしまっている経営者側の人件費削減という幻想だ。
モノづくりの仕事はアナログで、デジタル化がどれだけ進んだとしても、アナログな部分は無くならない。
現場ではデジタルはアナログをサポートするものでしかない。
職人達は創造的なモノづくりをやりたがっている。
また年齢が若ければ若いほど創造性にあこがれる。
この現状を汲み上げるられる企業こそが、世界の中でも必要とされる次世代のニッポン製造業を作っていく人達になるだろう。
最後にグランパさんは

21世紀の「職人」像が変わり始めているのかもしれない。期待しつつ見守りたい。

と書かれている。
ここ数年まさにそう感じる。
追加で言わせてもらえば「工場の経営者像」も変わり始めている。
日本が得意とするモノづくりで有能な経営者が増えることを期待します。
つべこべ言わずにここも見てっ