工業材料シンポジウム

横浜市経済観光局もりづくり・創業支援課、工業技術支援センターにて「最新工業材料シンポジウム」が開かれた。


基調講演:名取技術士事務所 名取達雄
新材料/新技術とビジネスマッチング
講演1:オイレス工業(株)
オイルフリーベアリング材について
講演2:伸光金属工業(株)
アルミナイズ、アルファー処理、防錆材料について
講演3:(株)セイシン
M2052制震材料について
講演4:京セラ(株)
ファインセラミックについて(金属や樹脂と比較した、ファインセラミック材料の特徴と優位差、 その可能性について。 さらにセラミック材料の特徴を発揮する、産業機械における応用製品の具体例を紹介。)
講演5:ふくはうちテクノロジー(株)
ダイヤモンドライクカーボン膜、ハイバリアペットボトルについて
講演6:(株)東海産業
導電性ガラス材料について
講演7:(株)日興
ホーローコート材、コンクリート防食材について
講演8:スターテック(株)
蓄光材料、示温材料、サンプル破砕装置について


この多数の講演のうち、
ふくはうちテクノロジー(株)のダイヤモンドライクカーボン膜
(株)東海産業の導電性ガラス
(株)セイシンの制震材料
京セラ(株)のファインセラミック
の講演を聴くことが出来た。
ダイヤモンドライクカーボン膜はすでにホット用ペットボトルで市場にでているという。
来年にはみその容器として採用もきまった。
導電性ガラスは、従来のガラスのイメージ、電気を通さない絶縁体であるということを打ち破った発明だ。
ニクロム線ほどの抵抗値で通電するという。
将来はガラスによるフィラメント、つまり裸電球の中(ぐるぐるしている部分)もガラスで出来ているということがあるかもしれない。
制震材料は、ミナロも深く関係している旭鋳金工業の薄肉大型鋳物の共鳴防止用シートとしても使われている。
お寺の鐘を思い浮かべて欲しい、ほとんどの金属は叩けば響く。
響くというのは振動なのだが、用途によっては振動は避けたい場合も多くある。
たとえば、工作機のツール、測定機のホールド等。
M2052という制震材料を貼る、または自体を成型することにより、振動が伝わらない作業が可能となる。
ファインセラミックとは京セラの創業者、稲盛和夫氏が名付けた名称で、焼きものであるセラミックを工業的に使える様、成分、性質等を一定にした工業材料のことだ。
セラミックもカタイ、もろい、絶縁体というイメージが付きまとうが、今ではそのイメージを覆す様々な性質のセラミックが作られているという。
すべての講演を聴きたかったのだが、今回は同時刻の別会場での講演となったため、半分の4講演だけとなってしまった。
しかし中でも一番興味深かったのが、基調講演の名取氏だ。
定年後に技術アドバイザーとして独立、企業間のマッチングを数多くこなしている。
また、一日に5社も訪問、暇が出来ると予約もなく目の前にある企業に飛び込んで行くという。
定年直後の時期には、信楽焼のタヌキの置物を行商していたらしい。
ものすごくバイタリティーに富んだ方だ。
質疑応答で「報酬はどうなっている? 契約ごとはどう決めているのか?」と来場者から質問が出たのだが、どうやら儲けは無いらしい・・・
ある零細企業と中堅メーカーとのマッチングでは、名取氏自らが零細企業のパンフレットを作ったり、「歓迎 (株)〇〇御一行様」と書いた紙を掲げ駅まで迎えに行ったとか。
契約なんて関係無い! 目的を達成するのが使命だ! と、金より大事な物が他にあるんだという感じ。
がしかし、とても腰が低く、まじめな方だと聞いている。
旭鋳金が横浜市の研究開発事業助成金対象製品で一位の得点を得たのも名取氏の功績だ。
声が大きく、小柄で、ちょっと太めな、動物で例えればタヌキのような名取氏。
基調講演の冒頭で、以前行商していた信楽焼のタヌキと一緒に写っている名取さんの写真紹介があった。
そして講演の最後にみどりかわも一言感想を言わせていただいた。
「ありがたい話が聞けました、名取さんの人柄がとても気に入りました、今日はそれだけで十分です。」
「で、冒頭の写真のどこに名取さんは居ますか?」
親しみを込めたジョークですから。